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ごにょごにょ
小説とか日ごろの雑記を投げっぱなしにしてるブログ。 妄想全開(何
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ツナマヨはじめました!
ニコニコの東方手書き動画のタミフル、ツナマヨさんに送る霊夢×ツナマヨ小説です。
プチ創想話のほうに投稿させていただいたものを転載させてもらったものです。


分類 ほのぼの ミスティア 霊夢 文 椛 橙 ツナマヨ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おにぎりはじめたの」

 店主のミスティア・ローレライはそう言って4人の客の前におにぎりを出す。
 ここは八目鰻が自慢のミスティア・ローレライの屋台だ。
 妖怪の山の麓で経営するそれは一部の人間と妖怪に常連が出来ていた。
 そんな常連の4人の客、博麗霊夢、射命丸文、犬走椛、橙は渡された三角型のおにぎりをほおばる。

「ほう」
「これは」
「なかなか」
「おいしい!」



 霊夢はおにぎりを飲み込むようには食べながら。
 文は片手でもって咀嚼しながら納得するように。
 椛は両手でおにぎりをもって小さな口で味を確かめながら。
 橙は食べるの優先と口周りにご飯粒をつけながら。
 ――みなほおばる様子はは違えど一様においしいと頷いていた。
 客の上々の反応をみてミスティアは安堵する。

「いやー、おにぎりなんて握った事ないから心配だったけど、良かったわ」
「藍様の方がおいしいけど――うんうん、みすちーのも全然いけるよ!」

 無邪気に笑う橙にミスティアは苦笑する「褒められてる気がしないんだけど」と。
 おにぎりのレシピを教えたのはこの橙である。
 彼女が麓に遊びに行くときにご主人である八雲藍にこさえてもらっていたものをミスティアが彼女との昼飯時に見かけたのがきっかけであった。

「梅干を入れるなんてわかってますねえ、やはりおにぎりは梅ですよ。おにぎり本来の機能としても、勿論味としてもベストマッチです」

 と、ホクホク顔で言うのは文。
 ミスティアは「本来の機能?」と首をかしげる。

「殺菌作用ですよ。本来おにぎりは外出時の携帯食として用いられるものです。具材が梅だと長持ちするんですよ」
「ふーん、なるほどねー」
「私も取材をするときによく携帯しているんですよ、海苔で包んだ梅おにぎりが至高です」
「へー」


 ミスティアは頷きながらも別に弁当やるつもりもないし、と左から右へと聞き流していた。
 このままでは文の引きつった笑いがみれるのも時間の問題であったがそこへ椛が話に加わってくる。

「私は鮭の方が好きです」
「あや? 椛、この前まであなたは梅干派だったでしょ」


 文の直属の部下にあたる椛はその指摘に「そうだったんですが」と苦笑する。

「この前、山の神社のほうにお世話になった時、早苗さんから『鮭おにぎりはライフが全回復するんですよ!』鮭を勧められて……これがおいしいんですよ」
「なんですかその理由は……」
「うーんまあ、食べたらおいしかったので、いいじゃないですか」

 そう笑って鮭おにぎりをほおばる椛。
 文はむぅ、と唸ると頬杖をついてそれ以上追及することをやめた。
 そんな会話の中、一心不乱におにぎりを胃の中に詰め込んでいるのは霊夢だった。 橙がそんな様子に気づいて声をかけた。

「霊夢、そんなにお腹すいてるの?」
「む――」


 話を振られて、んぐっ、とおにぎりを飲み込むとしかめっ面を橙に向けた。

「なんつっても、三週間ぶりの白米だからね」
「三週間……」
「あんた、紫に言っといてよね。雑穀ばっかわたすなって」
「わ、私が?」


 霊夢は妖怪退治でお金をもらっているのだが、仕事は不定期だ。
 後は神社のお賽銭もあるのだが――こちらは言わずもがなである。
 そんな生活状況に見かねて、紫がたまに食料を投下している現状だ。

「ご主人のご主人様にぐらい、簡単に言えるでしょ」
「い、言えるわけないよ!」


 とんでもない、と橙は両手を振る。
 霊夢はふんと鼻を鳴らし、肘をついて「冗談よ」と笑った。
 どうやら食事の邪魔をされた腹いせだったらしい、それだけ言うと何事も無かったかのようにミスティアにおにぎりの追加注文を頼む。
 ほっ、と橙は胸に手を当てて息をつき、二度と霊夢の食事中の邪魔はしないと誓ったのだった。

「ところで好評だから、具材の追加しようと思うんだけど」

 追加注文のたくあんおにぎりを霊夢の前に出しながら、みなの視線を集める。
 おにぎりを受け取った霊夢が「何を予定してるの?」食いついてくる、その目は期待感でいっぱいだ。
 ミスティアはポケットから具材候補が書いてあるのだろう、メモ書きをとりだした。

「いまのところは、おかか、ごま、明太子、ツナマヨ――」
「ツ、ツナ――」
「ツナマヨ!?」


 文がガタッ、と慌しく立ち上がった。
 彼女の眼は酷く怒っているような、怯えているような、そんな目。 
 普段では見られない彼女の表情に一様はみんな静まり返って注目する。

「どうしたの?」
「だ、だめですツナマヨなんかっ! ツナマヨはっ、ツナマヨは太るんですよ!」
「!?」

 両手拳を握って麓に響き渡りそうな大声を射命丸文はあげた。
 橙は片目をつぶって両耳をふさぎ、椛は肩をすくませ、霊夢はあまりにも煩かったのか机につっぷしていた。
 そんな中、屋台の店主たるミスティアが「まあまあ座って」と文を促す。
 制されて座りなおす文だが、握り拳をつくって体を震わせている。

「……太るの?」
「ツナにマヨネーズですよ? 油まみれじゃないですか!」
「私はあんまり気にしないけど、別に飛び回ってれば運動になるし。文だって、いつも飛び回ってるんだから」
「そう! そうだったはずなんですよ……」


 偉く気落ちする文と懸命に話に付き合うミスティアを横目にみて、橙は隣の椛にひっそり「ねえねえ?」話しかけた。
 が、椛は文の方をみているようで、応じない。
 肩を叩こうとも思ったのだが、普通すぎてつまらないなと橙は彼女の真っ白な髪に隠れている耳をひょいと掴むと「わふぅ!?」と小さく変な声を出した。
 普段髪に隠れている耳もピンと外に露わになって、しっぽもびっくりしていきり立っていた。
 文に聞こえてない事を確認すると橙の肩を引き寄せ、顔を真っ赤にして声をそばだててきた。

 「な、なっ、なにするんですか……」
 「声かけても全然反応しなかったから……ちょっと」

 「もう少しやりようがあるでしょう」と立った耳を手でクイと髪に埋めながら抗議する。
 予想を超えた反応に罰が悪い橙。

 「もう、やめてくださいよね――ところで、どうしましたか?」
 「あ、うん。そこの新聞屋さん、何かあったの?」
 「あぁ……私も詳しくは存じないのですが、どうやら同輩の方にたるんでるとかなんとか」
 「そうなの?」
 「……私が聞いたら殺されますよ」


 ぶんぶんぶん、と首を横に振る。
 橙が椛の先輩を見やるとミスティアに泣きそうな顔をしながら愚痴をこぼしている。
 確かに何があったかは聞けそうも無さそうだ、と橙は頬を掻くのであった。
 その後、酒も加わって暫くは文の独壇場、ミスティアは苦笑して話をきき、霊夢はちびちびと酒をのみ、橙と椛は八つ当たりを避けながら二人で談笑を。
 今日も今日とて喧騒で夜が深まっていく……。



――――




――――――――




「霊夢さん」
 
 夜も更けた頃に屋台は閉店となり、4人はそれぞれの家路につく。
 霊夢は麓の神社へ、橙はマヨイガへ、文と椛は妖怪の山へ。
 文は酒の勢いで他の3人より早く、速く妖怪の山へと帰ってしまったのだが。
 そんなわけで一人で帰ることになった椛は山とは逆方向に飛び、フワフワとゆったりした速度で飛んでいる霊夢の背中に声をかけていた。
 声をかけられる前から誰が来てるというのはわかっていたのだろう、だるそうに振り向いた。

「なによ、下っ端天狗が話しかけてくるなんて珍しいじゃない」
「哨戒天狗です! あと、名前覚えてくださいよ!」
「気が向いたら」
「じゃあ、せめて哨戒とは」
「考えておくわ」
「うーん……まあ」


 椛は口ごもってポリポリと頭を掻いた。
 遺憾だが、頑固な博麗の巫女に正面から付き合うのはしんどいし、本来の目的ではない。
 椛の見立てでは彼女は既に機嫌が悪いのだ、余計な二言だけでも失態だ。
 ごほんと咳払いして椛は空気を仕切りなおす。


「本題ですが。霊夢さんもツナマヨ好きなんですよね?」

 霊夢の顔が一層しかめっ面になった。

「どうしてそう思うのよ?」
「文様が最初に叫んだ時、何か言いかけてましたから。それにその後ずっと文様のお話を聞きながら落ち着かない感じでしたし」


 一気にしゃべりきって椛は霊夢の顔色を伺う。
 椛から目を逸らし、鼻を鳴らして腕を組んだ。

「……眼はいいのね」
「私の取り得ですから」


 ついでに鼻もききます、と自慢するが霊夢が黙りこくって話が続かなかった。
 しばらくの間、夜の寒風に場が支配されていたが霊夢が口を開く。

「ちょっと前に紫からもらったんだけど、それがほんとにおいしくてね」
「はい」
「ずっともう一回食べたいと思ってて……でも」


 またしても無言。その後の台詞は言わずもがな、である。
 目の前までお預けを食らった顔――椛は見たこともない巫女の顔とこれから自分が明かす事を比較して口を抑えながらもクスッと笑ってしまった。

「あの、実は文様の言ってる事は嘘なんです」
「えっ」


 笑われて殺気を辺りに広げようとしていた霊夢は、その言葉でふと気がぬけた。
 予想通りと、椛は続ける。

「嘘というか、文様が風の噂を信じきってしまっていて――風を操る能力なのにおかしいですよね」
「そうなの?」
「実は大したこと無いんですよ。文様は信じてくれないのですが」


 「勿論過剰摂取はダメですけどね」と付け加えたが霊夢の目は水を得た魚の様で、何やらブツブツと呟いている――多分というか間違いなく聞こえてない。
 椛がどうしたもんかなと様子をみているとガバッと勢いよく顔をあげた。

「ちょっと、野暮用を思い出したわ。屋台にもどるけど?」
「あ……はい、私はこれ言ったら帰ろうと思っていたので問題ないです」


 突然の事にしどろもどろになりながらも返事をする。
 その応えに霊夢は頷く。

「そう。犬走椛、恩に着るわ」

 そう言って椛を横切って――屋台の方へと飛んでいく。
 椛は一瞬硬直したがバッ、と振り向いて叫んでしまう。

「お、覚えてるんじゃないですか!」

 霊夢は思い出したように、空中でブレーキをかけるとニコリと椛に振り向いた。

「言うのがめんどくさかったのよ、犬走椛、って噛みそうになるし」
「そうでしょうか……」
「私はそうなのよ。じゃあ、行くわね」


 そう言って踵を返した霊夢は二度と振り返らなかった。
 椛も霊夢が屋台に降り立ったのを見て、彼女も妖怪の山へと帰っていく。
 帰る路、椛は少しだけ充足した顔になっていた。


――――


 「ちょっと!」
 「あれ、どうしたの? 忘れ物?」


 ミスティアは皿を洗っている途中であった。
 霊夢はミスティアの顔にビシッと指差し、単刀直入に言い放つ。

 「ツナマヨ、多く仕入れておきなさい」
 「あれ、いいの?」


 小首をかしげるミスティア、どうやら椛だけでなくミスティアにも見抜かれていたらしい。
 しかし、今の霊夢にはそんなこと些細な事であり「あぁ、それね」と余裕の表情を浮かべる。

 「あれ大体嘘らしいわ」
 「大体?」
 「食べすぎなきゃいいんだって」
 「その条件は霊夢にはどうなんだろ」
 「普段食ってないんだから、屋台で食いだめしてるだけよ」


 全体からみたらバランスがとれているわ、と力説。
 はいはい、と霊夢の高説を受け流すとメモ帳をとりだした。

 「ツナマヨはじめました! で、明日から宣伝しようかしらね」
 「だめ、だめよ。私が独占するんだから」
 「えー」
 「ツナマヨは私のものよ」


 口を尖らせるミスティアだったが霊夢の眼力には適わない。
 はいはい、ともろ手をあげて降参の意を示した。
 明日からの新メニュー、ツナマヨおにぎりには「霊夢専用」という注意書きが足されるのは確実なのであった。
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